第一回本の感想 ネタバレ編

 どうもあおむけです。

ふと思ったんですけど、ブログでの名前はあおむけになってるんですけどIDでほとんど本名ばれてるんですよね笑笑

そんなことはさておき今回は前回公開した「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」のネタバレを含む解説になります。

前回はほとんどネタバレをしない解説でした。読んでくれた方々ありがとうございます!

そこでネタバレをしてもいいんじゃないかという意見をいただいたのでどっちも書いてしまおうと思った次第です笑

僕はネタバレ大嫌いなんで不安だったんですけど分ければ大丈夫ですね笑

前回の記事と似るところもありますが最後まで読んでくれるとありがたいです。

 

 さて紹介する本は桜庭一樹著作の「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」という本になります。

この本は主人公の山田なぎさが転校生の自称人魚で奇怪な行動を繰り返す海野藻屑と出会い、初めは関わりたがっていなかったけど、だんだん心惹かれていきます。

しかしなぎさはある日藻屑が父と一緒にいるところを目撃してしまい虐待紛いの仕打ちをうけているところを目撃してしまいます。

そこから藻屑の悲しい生活の背景が明らかになっていきます。そうして最大の悲劇が二人を襲います。

 

 この本は様々なところに伏線が散りばめられています。わりと鬱展開なんですけど不思議と悲しすぎる展開にはなっておらず、どこか爽やかな読み応えが味わえます。

なんというか飲める毒みたいな感じです笑

私は初めて感じる感覚でした。

 

 この本のポイントは

※ここからネタバレが加速します

①藻屑の奇怪な行動に隠された真実

②藻屑の周囲との考え方の違い

③なぎさの藻屑に対する評価の変わり目

 

 最初に①についてですが、藻屑はなぎさに悪口を言ったり、足を引きずって歩いていたり、話を聞いていなかったりよくわからない行動を繰り返しています。

これらの行動にはしっかり意味があります。

例えば足を引きずって歩いていたり、話を聞いていないというのは父親の虐待のせいで、片足がしっかり動かなくなってしまったので引きずっています。

耳も虐待で左耳が聞こえないので、左側から話しても聞こえないので無視していると思われていました。

ただ奇怪な行動をとっていたのではなく悲しい背景があったんですね。

 

 続いて②ですが、藻屑は根本的に周囲と考え方が異なるところがあります。

それは虐げたり、暴力をふるうことが愛情の表現になると考えているのです。

例えば上記のなぎさに悪口を言うのも、学校ではなぎさにしか言っている描写はありませんし、後遺症が残るくらい虐待を受けているにもかかわらず父親のことが好きだと言っています。

これは藻屑が幼い時から受けていた虐待によって脳が作用してしまい、ストックホルム症候群のような状態になってしまったのだと考えられます。

ストックホルム症候群というのは誘拐や人質事件の際に長い時間高速されると犯人へ同情や忠誠心を誓うようになる現象のことです。

人は身体的にも精神的にも衰弱していくと正しい判断がつかなくなっていった末にこのような心理状態になっていくのでしょうかね。

藻屑の場合は長い間の虐待生活を本来愛すべきまた愛されるべき親という存在から受けていました。そんな状態では藻屑が父のことをおかしいと思えるでしょうか?ましてや父のことを憎むことができるでしょうか?

むしろ虐待を受けていない正常な子よりも激しく親を愛し、依存するようになります。実際の虐待事件でもこのような背景のせいで事件発覚に至らないそうです。

 

なので藻屑は自分が好きななぎさには暴言を吐き、父親のことは好きというのです。

藻屑にとっては当たり前のことかもしれませんが周りにとっては異常なことです。

しかし私たちの生活でもある言えることだと思います。

自分の普通は誰かにとっては普通じゃないこともあるものです。

 

 最後に③ですが、最初なぎさは藻屑を避けるように学校生活を送ります。

しかし藻屑が絡んでくるので少しずつ行動を共にすることになります。

この時なぎさは完全に藻屑に心を許していたとは言えないでしょう。

心を許すことになったきっかけは、藻屑が大切に飼っていた犬を父親がばらばらに殺してしまいました。

そうしてこの死体が蜷山にあるという藻屑ですがなぎさは信じません。そうして二人で蜷山に行くことになり本当に死体はありました。

その時なぎさは今まで自分のほうが圧倒的に不幸であり、藻屑に自分の気持ちなんてわからないと思っていましたが、藻屑のほうがより不幸であると感じてしまいました。

このように感じられたときに初めて藻屑を友達だと思えたと言っています。

それまでのなぎさの藻屑に対する行動と気持ちが変わってからの変化に注目です!

 

 ここまではこの本のポイントをまとめてみましたが、この本は二回目に読む際はより面白いと思います。

物語のおちを踏まえて読むと各人物の所作の意味がより理解できると思います。

 

 以上「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」のネタバレ版の解説と考察でした。

次回は本じゃない記事を書くのでお楽しみに!

読んでいただきありがとうございました。